2008-09-15から1日間の記事一覧

北村太郎「朝の鏡」(抄)

朝の水が一滴、ほそい剃刀の 刃の上に光って、落ちる――それが 一生というものか。不思議だ。 なぜ、ぼくは生きていられるのか。曇り日の 海を一日中、見つめているような 眼をして、人生の半ばを過ぎた。 (中略) 朝の水が一滴、ほそい剃刀の 刃のうえに光…