2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

唯円『歎異抄』

善悪の二つ惣じてもって存知(ぞんち)せざるなり。 〈解釈〉自分は善ということも悪ということも本当のことはまったくわからない愚か者である。

空海『性霊集』

遠くして遠からざるは即ち我が心なり。絶えて絶えざるは是れ吾が性(しょう)なり。 〈解釈〉遠くにあるようでいて、遠くはないのが己の心である。己と隔絶しているようでいて、隔絶していないのが己が本来そなえている仏となるべき本性である。

鴨長明『鴨長明集』

あればいとうそむけばしたう数ならぬ身と心との中ぞゆかしき 〈解釈〉いっしょにいればうとましく思い、別々の方向に行けば行ったで逢いたくなってくる、このとるに足らぬ身と心との間柄、いったいどうなっているのか知りたいものだ。

道元『学道用心集』

若し人の賞翫(しょうがん)すれば、縦い非道なりと知るとも、乃ち之を修行す。若し恭敬讃嘆(くぎょうさんたん)せざれば、是れ正道(しょうどう)なりと知ると雖も、棄てて修(しゅ)せず、痛ましいかな。 〈解釈〉もしも世間(よのなか)の人がほめそやせ…

源信『往生要集』

何が故に、刹那の苦果(くか)に於いて、なお堪え難きことを厭い、永劫の苦因に於いては、自(みずか)ら恣(ほしいまま)に作られんことを欣(ねが)うや。 〈解釈〉どうして目先の苦しみには、あたふたとこれからのがれようとするのに、長い目で見たときに…

蓮如『蓮如上人御一代記聞書』

人の悪(わろ)きことはよくよく見ゆるなり、我が身の悪きことは覚えざるものなり。 〈解釈〉他人の悪はよく目につき、見えるのであるが、自分自身の悪についてはなかなか気づかないものである。

一休宗純『一休骸骨』

いずれの時か夢のうちにあらざる、いずれの人か骸骨にあらざるべし。 〈解釈〉人生はことごとく夢まぼろしの連続である。われわれの着飾ったこのからだも、ひと皮むけば骸骨でしかないのだ。

『無量寿経』

人は世間愛欲の中に在りて、独り生じ、独り死し、独り去り、独り来(きた)る。行いを当(お)いて苦楽の地に至り趣(おもむ)く。身(み)自(みずか)ら之を当(う)く。代わる者有ること無し。 〈解釈〉人間はこの愛欲の世間のなかで、ひとりで生まれ、ひ…

『法華経』

内衣(ないえ)の裏に無価(むげ)の宝珠(ほうじゅ)有ることを覚(さと)らず。 〈解釈〉自分の着ている衣の裏にこのうえない宝の珠がぬいつけてあることに気がつかない。