2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧
最下鈍(さいげどん)の者も、十二年を経れば必ず一験(いっけん)を得(う)。 〈解釈〉どんなに愚鈍な人でも、一つの事を十二年つづけていれば、必ず何かの結果が出てくる。
身は大敵なり。暫くも油断することなかれ。 〈解釈〉自分の身体こそが自分にとって思いもかけぬ大敵であるから油断をしてはならない。
何事も、修行と思いする人は 身の苦しみは消え果つるなり 〈解釈〉どんなことも修行と思って進んでこれを行う人にとっては、肉体の苦しみなど消えてなくなるものだ。
今日(こんにち)また只(た)だ恁麼(いんも)に空しく過ぐ。未だ知らず、来日(らいじつ)の工夫如何(いかん)。 〈解釈〉今日もまたただこのように空しく過ごしてしまった。明日の目的の達成はどうなるのかまだわからない。
われは悪(わろ)しと思う人なし。 〈解釈〉一般に人間は自分にとらわれているために、自分が悪いと考える人は誰もいない。
生きながら 死人となりてなり果てて 思いのままにするわざぞよき 〈解釈〉生きたままで死人になり切る。そのうえで思う存分に生きるというやり方のなんと楽しいことよ。
何ものも「自分のもの」ではない、と知るのが知恵であり、苦しみからはなれ、清らかになる道である。
賢者は非難と賞讃に動かされない。
己(おのれ)を忘れて己を忘れざれ。 〈解釈〉自己に執着することなく、無私になり、しかも自己を大切に守らねばならない。
自分を(他人に)与えるな。自分を捨てるな。
束縛の原因は対象ではない。原因は対象に対する束縛である。
悪よりも善根(ぜんこん)にて多く悪道に堕(お)つべき時刻なり。 〈解釈〉人は皆、悪を恐れ、善を尊重しようとするが、今の時代は悪によって悪道に堕ち入ることよりも、かえって善い結果を招こうとする行為によって悪道に堕ち入ることを警戒しなければならない…
浄(じょう)の上に不浄が現れる。しかし不浄の上には浄は現れない。
人の心、元より善悪(ぜんなく)なし。善悪は縁に随(したが)っておこる。 〈解釈〉人の心には、もともと善悪というものはない。善悪は条件や状況によって起こってくるものである。
生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥(くら)し。 〈解釈〉人はみな生まれることを繰り返し、死ぬことを繰り返しているが、しかも生死のもつ本質的意味にめざめることをしない、愚かな繰り返しにすぎないのである。
人皆(みな)己々(おのおの)得たる所一つあるものなり。その所得(しょとく)をとりて、これを用うれば、すなわち人を捨てず。 〈解釈〉人間には誰でも生まれつき備えている長所が一つはあるものだ。その良いところを見きわめて用いるならば、どんな人でも見捨て…
一切衆生、若し空理を解すれば、実にまた道(どう)を修(しゅ)するを仮(か)らず、只(ただ)空(くう)に於いて空ぜざるが為に、有惑(うわく)を生ず。 〈解釈〉あらゆる人々が、もしも空の理法を理解しているならば、実際には道を修する必要はない。ただその空を空…
若し縁より生ずるものは即ち自性(じしょう)無し。若し自性無きものは即ち是れ本不生(ほんふしょう)なり。本不生は即ち是れ心の実際なり。 〈解釈〉この世界は縁起の理法によって成り立っているという立場から言うならば、そうやって生じたものにはそれ独自の…
問うて曰く、「此の説のごときは、即ち一切の衆生本来解脱なるや」。答えて曰く、「尚(な)お繋縛(けばく)する無し、何ぞ解脱の人有らんや」。 〈解釈〉問うて言う、「そういうことになると、つまりすべての人々は、もともと解き放たれているのですか」。答え…
識(し)るべし、行(ぎょう)を迷中(めいちゅう)に立て、証(しょう)を覚前(かくぜん)に獲(う)ることを。 〈解釈〉現実の迷いのまっただなかで真実への行を起こす、まさにその迷中そのものにおいて真実を即座に現成(げんじょう)するという事実を識るべきである。
「生きながら死して静かに来迎を待つべし」と、云々。万事にいろわず、一切を捨離(しゃり)して、孤独独一(どくいつ)なるを、死するとはいうなり。生(しょう)ぜしもひとりなり。死するも独りなり。されば人と共に住するも独りなり。そいはつべき人なき故なり…
過去心(しん)も不可得(ふかとく)なり、現在心も不可得なり、未来心も不可得なり。 〈解釈〉過去の心も、現在の心も、未来の心も捉えることはできない。
人の死ぬるのち、さらに生(しょう)とならず、しかあるを生の死になるといわざるは、仏法のさだまれるならいなり、このゆえに不生(ふしょう)という。死の生にならざる、法輪のさだまれる仏転(ぶってん)なり、このゆえに不滅という。生も一時(いちじ)のくらい…
氷と水と相(あ)い傷(そこな)わず、生(しょう)と死と還(ま)た双(ふた)つながら美(よ)し。 〈解釈〉氷と水は互いに否定し合うことがないように、生と死もお互いに対立し合うものではなく、それぞれがそのままに美しい。
死は生(しょう)に依(よ)りて来たる。吾れ若し生ぜざれば何(なに)に因りてか死有(あ)らん。宜しく其れ生にて初まるを見死(し)にて終わるを知るべし。応(まさ)に生を啼(なげ)くべし。死を怖る勿れ。 〈解釈〉生有れば必ず死が有る。われわれが生まれなかったら…
仏となるに、いとやすき道あり。もろもろの悪をつくらず、生死(しょうじ)に著(じゃく)する心なく、一切衆生のためにあわれみふかくして、上(かみ)をうやまい下(しも)をあわれみ、よろずをいとう心なく、ねがう心なくて、心におもうことなく、うれうることな…
仏に逢(お)うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺し、羅漢に逢うては羅漢を殺し、父母(ふぼ)に逢うては父母を殺し、親眷(しんけん)に逢うては親眷を殺して、始めて解脱し、物と拘らず、透脱(とうだつ)自在なることを得ん。 〈解釈〉仏、祖師、修行者、父母、親…
それ仏法遥かにあらず、心中(しんちゅう)にして即ち近し。真如外(ほか)にあらず、身を棄てていずくんか求めん。 〈解釈〉仏の教えは遠いところにあるのではない、われわれの心の中にあって、まことに近いのである。真理はわれわれの外にあるのではない、この…
只(ただ)白骨(びゃっこつ)を帯(たい)し歳月を送り、白骨の上に衣裳を荘(かざ)り著(き)て、白骨の身を以て唯(ただ)世を渡る。此の白骨久しく世に在らず。 〈解釈〉〔われわれは、豊かな身体をもって生活していると思っているが〕本当は、白骨を持って毎日を送…
此の身(み)風前の灯(ともしび)のごとし、何ぞ執著(しゅうじゃく)有らん。此の質水上(すいじょう)の沫(あわ)のごとし、何ぞ愛心(あいしん)有らん。 〈解釈〉この身体は風にさらされた灯火のようにはかないもので、どうしてこれにとらわれることがあるだろうか…