2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧
奥様、前章のどこを読んでおられたんです? わたしの母親はカトリックの信者ではなかったと申し上げたはずですが――カトリックの信者ですって! あら、そんなこと聞いていませんわよ。奥様、それじゃもう一度読み返していただきたいが、わたしは、少なくとも…
モニカの顔が怒りのために紅潮してきた。「ロイド先生が片腕で彼女を抱きしめていたんだってば」。彼女は言った。「この目で見たんだから。あなたに話して損した。信じてくれるのはローズだけよ」 ローズ・スタンリーが彼女を信じたのは、その話に興味がなか…
「もう一度言うが、わしにには君が必要なんだ」。サー・ピットはそう言ってテーブルを叩いた。「君なしでは生きていけないのだよ。君がいなくなるまではそれがわからなかった。だが、家がどうにかなってしまったようでな。どうしても同じ場所とは思えんのだ…
数分後、サリー本人が到着した。 「ねえフリッツ、私すごく遅かった?」 「いや、三十分ぐらいのもんだよ」。フリッツが所有の喜びを満面に浮かべて、気取った声を出した。「イシャウッドさんを紹介しよう――ボウルズさん。イシャウッドさんはクリスの名で通…
ニコルに見立ててもらって、ローズマリーは自分の金でドレスを二着、帽子を二つ、靴を四足買った。ニコルの方は、二ページにわたる長大なリストを見ながら買物を進め、それに加えて、ウィンドウに飾ってある品々も買った。自分ではとうてい使えなくても、気…
LAでは車を運転しなけりゃ何もできない。俺はといえば酒を飲まなけりゃ何もできない。そして、運転―酒という組み合わせはここではありえない。何しろちょっとシートベルトを緩めたりタバコの灰を落としたり鼻クソをほじくったりしようものなら、あっというま…