2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

(『曽我物語』)

毒薬変じて甘露となる はじめ毒薬であったものが、後に変化して甘露という天酒になった。害毒であったものが、後に転じて利益をもたらすことをいう。

(『古事談』)

歌枕見てまいれ 東北の歌枕の実景をみて、歌のみやびの修行をしてこい。

(清少納言『枕草子』)

遠くて近きもの、極楽、舟の道、男女の仲 (「男女の仲」は写本によっては「人の中」)

(向井去来『阿羅野』)

手の上に悲しく消ゆる蛍かな

(松尾芭蕉『おくのほそ道』)

塚も動けわが泣く声は秋の風 君の死を嘆きかなしむ私の哭泣(こくきゅう)が地下の君の霊にまで届いて塚も動けよ。わが慟哭の声が秋風に和し、秋風はわが嘆きを運び、塚の周囲を吹きめぐる。

(『柳多留』)

書き置きはめつかりやすい所(とこ)へ置き

(正岡子規)

いちはつの花咲きいでて我目(わがめ)には今年ばかりの春ゆかんとす

(並木五瓶『桜門五三桐』)

石川や浜の真砂(まさご)は尽きるとも世に盗人(ぬすびと)の種はつきまじ 川や海辺に無数にある細かな砂が無くなったとしても、世の中に泥棒がいなくなることはないだろう

(良寛)

いざさらば蓮(はちす)の上にうち乗らむよしや蛙(かわず)と人は言ふとも それじゃ、みなさんさようなら。これから極楽へ行けるように蓮の花の上に乗るよ。たとえそりゃあ蛙だよといわれようとも。

(井原西鶴)

浮世の月見過ごしにけり末(すえ)二年 人生五十年というが、五二年の生涯をすごした私は、二年分余計にこの浮世の月をみたことになるよ。

(三世河竹新七『籠釣瓶花街酔醒』)

おいらん そりゃァちとそでなかろうぜ 花魁、それはちょっと道理に合いますまいよ。

(並木五瓶『桜門五三桐』)

絶景かな 絶景かな 春の眺めは価(あたい)千金とは小さなたとえ 桜花爛漫の春の景色の素晴らしさ、千金に価するなどとはみみっちいたとえだ

(河竹黙阿弥『勧善懲悪覗機関』)

むごい殺しも金ゆえだ 恨みがあるなら金にいえ

(岸田國士『紙風船』)

話は「する」ものよ。「ある」ものぢやないわ

(伊藤左千夫)

牛飼(うしかい)が歌よむ時に世のなかの新しき歌大いにおこる

(与謝野鉄幹)

われ男(お)の子意気の子名の子つるぎの子詩の子恋の子あゝもだえの子

(河竹黙阿弥『青砥稿花紅彩画』)

知らざあ言つて聞かせやせう (俺の名を)知らないならいって聞かせてやりましょう。

(鶴屋南北『浮世柄比翼稲妻』)

濡れる心の傘(からかさ)にねぐらかそうよ濡れ燕 しっとり濡れた心の傘(からかさ)を濡れ燕のねぐらにかしてやろうよ。

(松平定信『花月草紙』)

かたはらより言ふことは、いとよくあたるものなり 第三者が指摘することは、たいそうよくあたるものである

(『右近左近』)

公事と申すものは申しようによつて、理をもつて非に落つるものでござる 訴訟というものは、弁論の仕方いかんによって、道理の上では正しいことであっても、誤りとされて負けとなることが多いものだ。

(No Title)

拈華微笑(ねんげみしょう) 釈迦があるとき金波羅華(きんばらけ)という天上の花を拈(つま)んで説法の座で示された。一同何ごとかと呆然としていると、迦葉(かしょう)尊者ただひとり微笑をもって応えた、という。即ち、言葉でも、文字でも表わし得ない教えのあ…

(『曽我物語』)

三思一言(さんしいちげん) くりかえしよく考えてから、言葉に出せ。

(『十訓抄』)

口の虎は身を破る。舌の剣(つるぎ)は命を断つ。口をして鼻のごとくにすれば、後(のち)誤つことなし 相手を攻撃したり、傷つけるような物言いは、逆にわが身を破滅させることになる。口を鼻のようにして物を嗅ぎ分けて用心して使えば、間違いを起こすことはな…

(『大鏡』序)

おぼしきこと言はぬは、げにぞ腹ふくるる心地しける 思っていることを言わないでいると、なるほど、腹が張ったような嫌な気分がするものです。

(鶴屋南北原作『いろは仮名四谷怪談』)

首が飛んでも動いて見せるワ たとえこの首が飛んでしまっても俺は生き続けて見せるぞ。

(鶴屋南北『東海道四谷怪談』)

一念通さで置くべきか 今の恨みのこの一念を晴らさないで置こうか、必ず報いてやるぞ。

(島木赤彦)

或る日わが庭のくるみに囀りし小雀(こがら)来らず冴え返りつつ

(伊藤左千夫)

さびしさの極みに堪へて天地(あめつち)に寄する命をつくづくと思ふ

(松尾芭蕉『嵯峨日記』)

うき我をさびしがらせよかんこどり 鬱々と気が晴れないでいる私を、なおさびしい思いにさせておくれ。閑古鳥よ。お前のその淋しい鳴き声で。(閑古鳥は夏の季。カッコウの別名で、呼子鳥ともいう)

(『大鏡』)

まめだちたる人にはもの言ひにくし。うちとけたるけしきにつきてなむ、人はものは言ひよき 真面目そうな人には話がしにくい。うち解けた様子をしていると、それに応じて、人はものが言いやすいものだ。