2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧
君歸期(きき)を問ふに未だ期有らず、 巴山(はざん)の夜雨(やう)秋池(しうち)に漲る。 何(いつ)か當に共に西窓(せいさう)の燭を翦(き)って、 郤(かへ)って巴山の夜雨の時を話(かた)るべき。 (語釈) ◇北=北地の意であるが、巴山に対して、おそらく都の地を…
昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、「京にはあらじ、東の方(かた)に住むべき国求めに。」とて行きけり。もとより友とする人、ひとりふたりして行きけり。道知れる人もなくて、惑ひ行きけり。三河の国、八橋(やつはし)といふ所に至りぬ…
否! 否! 断じて否だ!
急いではだめだ!…… むちゃをやっちゃ!…… 乱暴にしては!…… われわれはそれを恐れていた…… 無理押しをしては、すべてがだめになる! 予想をすべて覆すのは、あわてることだ!…… もっとも実りの多い計画とは、ごくゆっくりと熟す計画である!…… われわれは早…
だが、それにひきかえ、資本というやつは恐ろしく逃げ足が早い! 臆病だ! すごく内気でさえある!…… 人類のあらゆる不幸、とりわけ彼の不幸は常に資本の欠除からきている……動産への不信……恐ろしくまれな信用から!…… だが、そうしたことは全部解決可能だ!………
わたしはパンツをはきなおしていなかった……そうやって、糞の滝の真中に立っていた……
人々は不愉快な仕事を求めて、足早に部屋の中にはいっていく。もう眺めている人間なんかいない…… このわたしが思い出だ!…… そして腐敗した臭い……
夫れ人は性質の美有りて、心(こころ)辨知(べんち)すと雖も、必ず將に賢師を求めて之れに事(つか)へ、良友を擇(えら)びて之れを友とせんとす。今(いま)不善人(ふぜんにん)と處(を)れば、則ち聞く所の者は欺誣詐僞(ぎふさぎ)なり。見る所の者は汙漫淫邪貪利(を…
昔、男、初冠して、平城(なら)の京、春日の里にしるよしして、狩りにいにけり。その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。この男、かいま見てけり。思ほえず、ふるさとに、いとはしたなくてありければ、心地惑ひにけり。男の、着たりける狩衣の裾を切…
人を犯罪に駆り立てるのは、アルコールよりもむしろ空想物語である……
わたしは嬉しがる権利しかなかった! 讃歌を歌う権利しか! わたしは幸運の星のもとに生れているのだ! そのわたしが不運だなんて! わたしは献身的な両親をもっている、それでたくさんだ。そう、両親はあらゆる苦悩、悲劇的な宿命に身をささげている…… わた…
わたしは、最後の努力を示すべき決定的な年齢に達していた……自分のチャンス、〈自分の運命〉をむりやりに試す…… 自己の生涯を方向づける二度とないときだった…… そいつはすばらしいことだ……すてきな……
言葉! 言葉! しゃべる? しゃべる? しゃべるってなにを?……
それに女ってやつは常に急いでいるってことを忘れちゃいけない。女ってやつはなんの上にでも生える…… 女はどんな汚いごみだっていいんだ…… 完全に花とおんなじだ…… 一番きれいなやつほど、一番臭いこやしが要るってわけだ! 花の季節は長くはつづきゃしない…
わたしは引きずり込まれはしなかった…… くだらないおしゃべりなんてものはもう真平だった…… いろいろなことを思い出しただけで…… 家でのわいわい騒ぎ!…… 母のよまいごと!…… 言葉でさんざん人に言われる悪口! 糞っ! もうごめんだ! そんなものは山ほど知…
宋牼(そうかう)將に楚に之かんとす。孟子石丘(せききう)に遇ふ。曰はく、先生將に何(いづ)くに之かんとするやと。曰はく、吾聞く、秦楚(しんそ)兵を構ふと。我將に楚王に見(まみ)え、説いて之れを罷めんとす。楚王悦ばざれば、我將に秦王に見え、説いて之れ…
暗うなるままに、雨いとあやにくに、頭(かしら)さし出づべくもあらず。少将、帯刀(たちはき)に語らひたまふ。「くちをしう。かしこにはえ行くまじかめり。この雨よ」とのたまへば、「ほどなく、いとほしくぞはべらむかし。さはべれど、あやにくなる雨は、い…
わたしの望みは出発することであり、それもできるだけ早く、そしてもう誰の話もきかないことだった。重要なのは自分がまちがってるか正しいか知ることではない。そんなのはまったくどうだっていいことだ…… 必要なのは、世の中の連中に自分にかまう気をなくさ…
「人生ってことはおまえの年頃にとっちゃ、重大なことだよ……」
死だなんて! 畜生…… 自分の死!……
「ああ、きみ! それだけのことかね? もしわたしがきみみたいな胃を持ってたら! いいかね! そんなもの糞食らえだ!…… もちろんだ!…… 近親や縁故だなんて!…… 息子たちや従兄弟だなんて! 女房だなんて! 娘たちだなんて! 十八人の親父だなんて! ぼくが…
わたしは仕事が大きらいだ。なんで選り好みをする?…… わたしは讃歌なんて歌やしない…… できることなら、やつらに糞をひっかけてやりたいくらいだ…… 雇われて働くってのはそういうことだ……
「おいおい、ちがうってば、坊や! 安心をし! そんなのはどうってことはない! 通してあげるよ! きみは人生をはじめるんだ! そんなにそうしたいんならね!」
曾子曾セキ(「セキ」は、上部「析」+下部「日」)を養ふに、必ず酒肉有り。將に徹せんとするや、必ず與(あた)ふる所を請ふ。餘り有りやと問へば、必ず有りといふ。曾セキ死す。曾元(そうげん)曾子を養ふに、必ず酒肉有り。將に徹せんとするや、與ふる所を請…
八月十五日ばかりの月にいでゐて、かぐや姫、いといたく泣きたまふ。人目も、今はつつみたまはず泣きたまふ。これを見て、親どもも、「何事ぞ。」と問ひ騒ぐ。かぐや姫、泣く泣く言ふ、「さきざきも申さむと思ひしかども、かならず心惑はしたまはむものぞと…
わたしたちは一種恥じいっていた…… あたかも有罪であるかのように…… 悲しみをよりよく守るため、もう身動き一つしなかった…… わたしたちは母ともども、テーブルにじかにうつぶせて泣いた…… 腹も減らなかった…… もうなんにも欲しくなかった…… わたしたちはす…
もはや世界には、われわれの焼かれる火しかのこっていない……
母はわたしが生きていくためにあらゆることをした、たぶん生れてきたこと自体がまちがいだったのだ。
人間は束の間のものだ、たしかにそうだ、だがわれわれはもうたっぷり束の間のものでありすぎた。
「ああ! 死をこさえながら死を楽しんでる、それが〈人間〉てもんだ」