2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

泉鏡花『霊象』

真実の告白は最良の弁護。

椎名麟三『深尾正治の手記』

誰もだましはしない。だますのはいつも自分だ。そして大抵は自分の過去がだますんだよ。

川端康成『舞姫』

自分を責めるというのも、実は、自分のいいわけを、さがすことらしいわ。

バルザック『谷間の百合』(石井晴一 訳)

恋にも人生と同じように思春期があり、そのあいだは自分だけで満ちたりていられるのです。

コルタサル『石蹴り遊び』(土岐恒二 訳)

彼女もぼくと同様、偶然の出会いがぼくたちの人生においてはおよそ偶然とは程遠いものであること、ちゃんと約束をしてデートするような人間は手紙一本書くにも罫の引いてある紙でなくちゃいけないし、練り歯磨きのチューブはいつも下の方からきちんと搾り出…

亀井勝一郎『人生論』

我々は誤解されたといって立腹するけれど、しかし理解したような顔をしている人間の薄情さの方にむしろ立腹すべきである。

萩原朔太郎『虚妄の正義』

最も親しき友人というものは、常に兄弟のように退屈である。

金子光晴『そろそろ近いおれの死に』(『塵芥』所収)

孤独なんて 脂下(やにさが)ってる奴は、 たいてい何か下心があって、 女共にちやほやされたい奴だ。 *「俺だって、似たような奴だった」と自ら認めてもいる。

フランソワ・ラブレー『ガルガンチュワ物語』「ラブレー第一之書」(渡辺一夫 訳)

さて、親愛なる諸君も、お楽しみになるがよいし、愉快に、この先の話を読まれ、体を寛がせ、腰の保養をされるがよろしい! いや、まだ言うことがあったな、そこな驢馬のふぐり野郎ども、――いっそ疳疽(よこね)に罹って跛足(びっこ)になるがよい!――私の盃のお…

フランソワ・ラブレー『ガルガンチュワ物語』「ラブレー第一之書」(渡辺一夫 訳)

この書(ふみ)を繙(ひもと)き給う友なる読者よ、 悉皆の偏見をば棄て去り給えかし。 また読み行きて憤怒すること勿れ、 この書は禍事(まがごと)も病毒をも蔵(おさ)めざれば。 げにまことなるかな、笑うを措きては、 全きものをここに学ぶこと僅かならむ。 我…

徳冨蘆花『みみずのたはごと』

己(わ)が造った型に囚われ易いのが人の弱点である。

有島武郎『人間と幸福』

銘々は自分に対して、不必要な割増しか割引きかをしたがるものである。

高見順『川端康成氏の魅力』

川端康成氏を、すこし離れたところから見ていると、何か植物のような感じを受けるときがある。

ボリス・ヴィアン『日々の泡』(曾根元吉 訳)

人生でだいじなのはどんなことにも先天的な判断をすることだ。まったくの話、ひとりひとりだといつもまっとうだが大勢になると見当ちがいをやる感じだ。でも、そこから身の処し方の規則なんかひきだすのは用心して避けなければならぬ。遵守するための規則な…

鈴木正三『盲安杖』

己を忘れて、己を忘れざれ。

島崎藤村『春』

彼は「自分」というものにすら長いこと欺かれて居たと考えるように成った。

夏目漱石『それから』

到底人間として、生存する為には、人間から嫌われると云う運命に到着するに違ない。

バルザック『従妹ベット』(平岡篤頼 訳)

人間のいさかいの大部分は、同時に学識ある者と無知なる者が存在し、しかもそのどちらもが、事実や思想の一側面だけしか決して見ないようにできていることに由来するものです。それでいてめいめいが、自分の見た面こそ唯一の真実な、唯一の正しい面だと主張…

チェーホフ「退屈な話」(湯浅芳子 訳)

わたしはアイスクリームのように冷めたく、そして恥ずかしいのだ。

藤原定歌『詠歌大概』

和歌ニ師匠無シ。只旧歌ヲ以テ師ト為ス。

小林多喜二『一九二八・三・一五』

自分達は次に来る者達の「踏台(ふみだい)」になって、さらし首にならなければならないかも知れない。蟻の大軍が移住をする時、前方に渡らなければならない河があると、先頭の方の蟻がドシドシ川に入って、重なり合って溺死し、後から来る者をその自分達の屍…

芥川龍之介『侏儒の言葉』

天才とは僅かに我々と一歩を隔てたもののことである。ただこの一歩を理解するためには百里の半ばを九十九里とする超数学を知らなければならぬ。

ロバート・A・ハインライン『夏への扉』(福島正実 訳)

「それはそうだけどね……しかし、きみの可愛がりかたは、犬の可愛がりかたで、猫のじゃなかったんだよ。猫の場合はたたいたりしちゃ絶対だめだ。撫でてやらなきゃいけないんだよ。それに猫の爪の届く範囲で、急激な動作をしてもいけない――つまり、こっちがこ…

島崎藤村『家』

どうかすると、非常に器用な素人ではあっても、無器用な専門家には成れないことが有ります。

夏目漱石『虞美人草』

眠気を催うす様な人間はどこか尊(たっ)とい所がある。 *「眠気を催うす様な人間」とは、一緒にいる者の眠気を誘うほどおっとりとしていて迫らない人間のこと。

西川如見『町人嚢』

豊臣関白の御時、驕る者久しからずといふ落書(らくしょ)ありしに、関白の御返書に、驕らぬ者も久しからずとおほせられし。

A&B・ストルガツキー『ストーカー』(深見弾 訳)

ゾーンというところはこういうところだ――ブツを持って帰ってきたら、奇蹟。生きて戻れたら、成功。パトロールの弾を食らわなかったら、幸運。それ以外は全部、運命だ……

スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(飯田規和 訳)

われわれが持っている知識のうちで、確実だと思えるものはすべて否定の領域に属するものばかりであった。

井上ひさし『さらば夏の光よ』

生娘の一番いけない所は、鼠にもキャッと悲鳴をあげるくせに狼には笑いかけたりする事なんですよ。

谷崎潤一郎『蓼喰う虫』

若い時分に女遊びをした人間ほど、老人になるときまって骨董好きになる。