2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

神谷美恵子『神谷美恵子日記』

医師になってみても何一つ人間のことはわかっていないのを知る。これを知るための勉強であったらしい。

神谷美恵子『神谷美恵子日記』

「私は死ぬまで何事につけても初心者でしかないだろうと思います」

神谷美恵子『神谷美恵子日記』

自分の生の意味がだんだんに自分に明らかにされて行くということの可能性を私はほんとうに想像さえしていなかった。

神谷美恵子『神谷美恵子日記』

ちょっとしたニュアンスで、ある人のありかた全部がにじみ出してしまうとはふしぎなことだ。

神谷美恵子『神谷美恵子日記』

書くのをこらえていじいじと苦しむより書きまくって苦しむ方がいい、本当にそうだ。

神谷美恵子『神谷美恵子日記』

「自分からこわれる、自分からこわれる」

神谷美恵子『神谷美恵子日記』

一ばんの障害は常に自己だ。

神谷美恵子『神谷美恵子日記』

人生に対して相済まぬ。

安岡章太郎『歴史への感情旅行』

だが逆に言えば、これだけ奈良や大阪に近いのに、どうしてこうも紀州は近畿とは切りはなされているのか、ということになるだろう。たしかに、熊野は隠国であって、陸のエア・ポケットとでもいうか、奈良あたりから真直(まっす)ぐ南へ下ってくると、途中か…

安岡章太郎『歴史への感情旅行』

本当の意味の傑作や成功作は、すべて大なり小なり偶然の加勢を得ているのであって、作家個人の力量だけでそんなに大きな仕事が出来るわけではない。

安岡章太郎『歴史への感情旅行』

たしかに、物を作る仕事でも「初心、忘るべからず」というところはあるだろう。しかし、接待やサーヴィスの仕事は単に「初心」を忘れないだけでなく、熟練すればするほど挙措動作に初(うい)ういしいものが要求される。おそらく、私たちは「もてなし」を受…

安岡章太郎『歴史への感情旅行』

要するに、私には物心ともに何の希望もなく、夜中に郊外電車のとおる音を聞きながら、ああおれもその気になれば、あの電車のそばまで這ってでも行けるし、レールに跳び込むこともできる、とそんなことばかりを考えていた。しかし、実際に自殺をはかってみる…

永井龍男「青梅雨」

「永い永いような、三月か半年のような、まあそんなものなんだろう、人の一生というものは」

永井龍男「青梅雨」

「みんな、夢のようだとよく云うけどね、あたしぐらいにならないと、ほんとの夢の短かさはわからないだろうよ」

永井龍男「蜜柑」

「夕方になれば、風は止むかも知れない」 「止んだ後って、淋しいものよ」

永井龍男「私の眼」

なにげなく行なわれる行為のうちに、彼らの術策が潜んでいることを私は承知している。

村上龍『テニスボーイの憂鬱』

外部を認め、自分もその一部なのだと納得しさえすれば、余分な自意識は自然に消えてしまう。

村上龍『テニスボーイの憂鬱』

笑いの渦に入れない時は誰にでもある。自分の悲しみを大切にしたい時だ。他人ははしゃいでいる。他人は楽しそうだ。自分だけが別のことを思い、願いが決して聞き入れられないと納得している。しかし他人の笑い声の渦との微妙な距離は、すべて順番なのだ、と…

村上龍『テニスボーイの憂鬱』

そうなんだ、誰も返事をしてくれないと本当に声が出ているのかどうか不安になる

村上龍『テニスボーイの憂鬱』

みんな目をつぶってますがね、この世の中はまるっきり不平等なのよね。いやむしろ生まれながらにして不平等だから世間が正常に健康に動いているっていうことなんだよね。

日本戦没学生記念会編『第二集 きけ わだつみのこえ』

あきらめきれない秒時計の針がまわってゆく。 私の突撃の時を、動きのとれない時と それでも、そっと恐れてみることもあるのだ。 うわすべりだったためにのみ 私は今まで平気な冷淡な顔をしていた。 そして今、初めて今、私はほんとうに 私の過去を狼狽して…

日本戦没学生記念会編『第二集 きけ わだつみのこえ』

汝は現在の生活を腰掛けと考えている。

日本戦没学生記念会編『第二集 きけ わだつみのこえ』

遠くで、考えるな、という声がします。しかし所詮人間はすべて流されているのです。遅いか速いか、場所を問わず。

日本戦没学生記念会編『第二集 きけ わだつみのこえ』

生命をこめて怠けているものは生命なしに勉強しているものより偉大な仕事をしているのだ。詩人や芸術家には前者が多く学者や俗人には後者が多い。 ※太字は出典では傍点

日本戦没学生記念会編『きけ わだつみのこえ』

生かされているのではいけない。生きるのだ。飼われているのであってはならない。総て、待つがいい。

日本戦没学生記念会編『きけ わだつみのこえ』

自己を殺すことはあくまで自己を押し通す事でしょうね。

日本戦没学生記念会編『きけ わだつみのこえ』

ほらね のどかな午前の青空を 飛行機が一台 のんびりと飛んでゆくだろう (陽は暖かく営庭に斜めに) これが昭和の絵本なのさ くちゃくちゃなこんな時代 にもやっぱり 童話があるんだってさ けれどね――

日本戦没学生記念会編『きけ わだつみのこえ』

吾人をして見しむればファッシズムとは現代における逃避思想であると一言にしていえる。ルネッサンス以来の我(が)の自覚の行きづまりの結果、論理的飛躍を求めんとして持ち出したのがファッシズムであろう。混乱の極に達した現代社会を打開するための方策と…

日本戦没学生記念会編『きけ わだつみのこえ』

悩みも苦しみも思想上の高い線上にあれば、それだけに、内心的であるという理由だけで悩み苦しみの中に一種の自己慰安がある。が、このような最低線。

日本戦没学生記念会編『きけ わだつみのこえ』

否むしろ悲劇的なる民族主義の「茶番」を見よ! 背後にほくそ笑む巨大なる者の存在を忘れてはならぬ。