2010-11-24から1日間の記事一覧

古井由吉『櫛の火』

「人がね、もう人として見えなくなるような、ああ、そこにいるな、まだいるな、とおもむろな驚きしか起らないような、手がひとりでに伸びていくような、そういうことがあるのです」

古井由吉『櫛の火』

「狂うというのは、ご自分で言われるけれど、どういうことです」 「何のことはない。誰にも見られていない、ということと、同じことです」

古井由吉『櫛の火』

「何を言ってるの。あなたはたとえ心中しても三日だけ生き残る人よ、死んだ女にやさしく寄り添って」