「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」

私はコーヒーをすすった。熱すぎるだけで、そのほかは申し分のないコーヒーだった。

表情を二種類持っているのだった――冷たい表情とさらに冷たい表情だった。

神経がいらいらしている人間はみんなそうだ。いままでまったく無口だったのに、次の瞬間にはとめどなくしゃべりまくるのだ。

「わかったわ」と、彼女はいった。「そんなこと、どうでもいいのよ」 「それは君がいってるんじゃない。睡眠薬がいってるんだ」

「銃では何も解決できない」と、私はいった。「くだらない第二幕を急いで幕にするぐらいのもんだ」

誰でも自分から完全に逃げ去ることはできないのだ。

「まずいテクニックさ――すぐ手を出すのはね」 「それから、気に入らないことも一つあるのよ。なんだか当ててごらんなさい」 「残念だがわからない――ぼくが生きているのが気に入らない人間はいるがね」