2011-06-18から1日間の記事一覧

岸田秀『ものぐさ精神分析』

常識によれば、悪人が悪事を働くのであるが、歴史が証明する通り、この世の悪事のほとんどは、「正義感」にかられて「悪人」に「正義の鉄鎚」を下す「正義の味方」がやらかしたものである。歴史は、善の名でなされなかった悪をいまだかつて知らない。

岸田秀『ものぐさ精神分析』

生きるのが下手な者は欲のない者であるが、自分は生きるのが下手だと思っている者とは、欲の深い者である。

岸田秀『ものぐさ精神分析』

自己嫌悪は、容易に他人への嫌悪と軽蔑に転化し、また、それを支える基盤となるのである。自己嫌悪は、内的葛藤の状態であり、内的緊張を高める。その緊張の解消のために、嫌悪が必然的に他人に投影されるようになる。差別と偏見の心理的基盤はここにあると…

岸田秀『ものぐさ精神分析』

自己嫌悪とは、自己自身に対する偽善である。欲望の満足を得た現実の自分に関する責任と罪を免れさせてくれるこのような便利な手段を、どうして手放すことができようか!