2011-07-26から1日間の記事一覧

太宰治「冬の花火」

ああ、これも花火。(狂ったように笑う)冬の花火さ。あたしのあこがれの桃源境も、いじらしいような決心も、みんなばかばかしい冬の花火だ。

太宰治「冬の花火」

冬の花火、冬の花火。ばからしくて間が抜けて、(片手にパチパチいう花火を持ったまま、もう一方の手で涙を拭く)清蔵さん、あなたもあたしも、いいえ、日本の人全部が、こんな、冬の花火みたいなものだわ。

太宰治「十五年間」

サロンは、諸外国に於いて文芸の発祥地だったではないか、などと言って私に食ってかかる半可通も出て来るかも知れないが、そのような半可通が、私のいうサロンなのだ。世に、半可通ほどおそろしいものは無い。こいつらは、十年前に覚えた定義を、そのまま暗…