2011-10-26から1日間の記事一覧

川端康成「家庭」

「ここはどこなの。」 「さあ。」 「ほんとにどこなの。」 「とにかくお前の家ではないね。」 「こんなところが沢山あればいいわね。」

川端康成「一人の幸福」

一生の間に一人の人間でも幸福にすることが出来れば自分の幸福なのだ。

川端康成「霊柩車」

こんな風に人間というものは死者に礼拝しているつもりで生者にも礼拝していることがあるし、また生者を眺めているつもりでもその影に死者がいることだってあるのだね。君が汽車の窓から何心なく自動車を見るとそれが愛人の葬列であったりするのだね。

川端康成「霊柩車」

昔から君は偶然というものに対して無関心であり過ぎるようだ。自分がやがて死ぬべき人間だということを忘れているかのようだ。