2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧
人間どもは人生の意味を独占しました。
〈狂人になることはできないわ。いらいらする。ただそれだけのことよ〉 ※太字は出典では傍点
なぜ人間には体があるんだろう。
読むことは、さしあたり、書くことの後に来る行為である。それは、より慎しみ深く、より洗練された、より知的な行為なのである。
「あるはずがない、しかしあるのです。この本のページは、まさしく無限です。どのページも最初ではなく、また、最後でもない。なぜこんなでたらめの数字がうたれているのか分らない。多分、無限の連続の終極は、いかなる数でもありうることを、悟らせるため…
「それに、どんな旅行でも宇宙的です。一つの天体から別の天体へ行くのは、向いの農場へ行くようなものだ。この部屋に入ってこられたとき、あなたは、ひとつの宇宙旅行を成し遂げたのですよ。」
「それはなにかの引用ですか?」とわたしは訊ねた。 「たしかに。もはや、われわれには引用しかないのです。言語とは、引用のシステムにほかなりません。」
「二千冊もの本を読める者はいません。わたしも、今まで生きてきた四世紀のあいだに、半ダースの本も読んではいません。それに、大事なのは、ただ読むことではなく、くり返し読むことです。今はもうなくなったが、印刷は、人間の最大の悪のひとつでした。な…
「おまえの最初の女は、なにをくれた?」と彼はきいた。 「なにもかも」と答える。 「わしにも、人生はすべてをくれた。生はすべての者にすべてを与える。だが、多くの者がそれに気づかぬ。わしの声は疲れ、わしの指はもはや力をもたぬ。まあ、よくきけ。」
田舎出の、貧しい若者にとって、新聞記者になることはロマンチックな運命に思えた。ちょうど、首都の貧しい若者にとって、ガウチョや農夫の運命がロマンチックに見えるのと同じだ。現在のわたしにはつまらない職業に思えても、かつて新聞記者になりたかった…
「この瞬間が永久に続いたらなあ」とわたしはつぶやいた。 「『永久に』というのは、人間には禁じられている言葉よ」
「わたしの夢はもう七十年もつづいているんだよ。結局のところ、思えば、自分自身に出会わない人間はひとりとしていないのだ。それが、いま、われわれに起っている――われわれが二人いるということを除いてはね」
草の生えていない道路、網戸をとりつけた家々、そして窒息させるような暑さの上に拡がる奥行きのある、素晴らしい空。それが日曜日の村であった。そこには、日曜日をほかの日と区別させるような印は何もないと彼は思った。そして、ひとっこ一人いない通りを…
「奇跡が起きることもあるよ」 「夢みたいなことは言わんでくれ」とドン・ローケは答えた。「不運というものは、かたつむりみたいなもんさ。おまえは奇跡を信じてるのか?」 「ときにはね」
「もう二十歳若ければ、別なんですがね」 「あなたはいつだって二十歳は若いですよ」
「悪い境遇の最も悪いところは、それがひとに嘘をつくよう強制することだ」
「人生はこれまでに発明された最良のものだ」
「大佐にはなにもきてませんか?」 大佐ははっとした。局長は袋を肩にかつぐと、台を降り、むこうを向いたまま答えた。 「大佐に手紙はきませんよ」
そして彼は毎週金曜日に郵便を待つ以外、なにもすることがないただの男に変ってしまった。
「われわれはもう救世主を待っていられるほど若くはないんですから」
「十月に土の中に埋められるなんて恐ろしいことにちがいないわ」
最後の内乱が終ってから五十六年間というもの、大佐は待つこと以外になにもしなかった。十月はやってきた数少ないもののひとつであった。