2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

寺山修司『馬敗れて草原あり』

変名というのは、いわば「変身」への願望の一つのあらわれであって、「この世の他の場所」をのぞむ気持がうかがわれる

寺山修司『さかさま文学史 黒髪篇』

人生はさよならが沢山あるほど幸福だと言えるのではあるまいか。

寺山修司『さかさま世界史 英雄伝』

私は、実際に存在しなかったことも歴史のうちであると思っていて、たぶん、やってくることのない「恋人」も、恋なのだと思っていたので、この舌をかみそうな「あらかじめ失われた」という言いまわしのなかにリルケ特有の感傷の匂いを嗅いだのだった。

寺山修司『さかさま世界史 英雄伝』

ホントよりも、ウソの方が人間的真実である、というのが私の人生観である。なぜなら、ホントは人間なしでも存在するが、ウソは人間なしでは、決して存在しないからである。

寺山修司『さかさま世界史 英雄伝』

おまえはただの現在にすぎない! とトロツキーは言った。 だが、もしも「ただの現在」の次にやってくるものを、待つだけだとしたら、それはいったい、いかなる明日か?

寺山修司『さかさま世界史 英雄伝』

夢を見すぎると、その夢に復讐される。かと言って夢も見ずに生きるのじゃ味気なさすぎる。

寺山修司『さかさま世界史 英雄伝』

変身することは、存在の拡張である。

寺山修司『さかさま世界史 英雄伝』

しかし、地獄は、イメージでも実感でもなく、思想なのである。

寺山修司『さかさま世界史 英雄伝』

――親が子によせる愛は、ときには親自身の孤独とエゴイズムから生れる私有欲であり、子にとって重荷である場合もあるのです。 人間の思慮分別など、いつの場合だって自分勝手だったり、自己中心だったりする。それは、はかないものです。

寺山修司『さかさま世界史 怪物伝』

「だが、生きたいという目的以上のものがこの世に存するだろうか?」

寺山修司『さかさま世界史 怪物伝』

それにもかかわらず、大戦をヒットラーの独裁的判断のせいだったと思いこもうとしている人たちは、実は「心の片隅で、独裁者というものの存在を信じ、それを待望している」からではないだろうか?

寺山修司『さかさま世界史 怪物伝』

私は、〈過去〉という文字にルビをふるときにエクスペリエンス(経験)とするよりも、ストーリー(物語)とする方が当っているという意見で、「過ぎ去ったことはすべて物語にすぎない」と思っている

寺山修司『さかさま世界史 怪物伝』

数の増大を好むものの底には、権力への嗜好が読みとれるのである。

寺山修司『誰か故郷を想はざる』

生が終って死がはじまるのではない。生が終れば死もまた終ってしまうのである。