2012-04-07から1日間の記事一覧

菅原孝標女『更級日記』

はしるはしる、わづかに見つゝ、心も得ず心もとなく思ふ源氏を、一の巻よりして、人もまじらず、几帳の内にうち臥してひき出でつゝ見る心地、后の位も何にかはせむ。

石川淳『森鷗外』

どんな事件に鼻をぶつけても、いつも泰然と「別に驚きやしねえ」と一つ覚えのせりふを悪用してあぐらをかいているのは、すでに思想という鯨の腹に呑みこまれたことに気がつかない鰯に似ている。