2012-04-08から1日間の記事一覧

夏目漱石『硝子戸の中』

今の私はばかで人にだまされるか、あるいは疑い深くて人を容れる事ができないか、この両方だけしかないような気がする。不安で、不透明で、不愉快に満ちている。もしそれが生涯つづくとするならば、人間とはどんなに不幸なものだろう。

夏目漱石『草枕』

世の中はしつこい、毒々しい、こせこせした、その上ずうずうしい、いやなやつで埋(うず)まっている。元来何しに世の中へ面(つら)をさらしているんだか、解しかねるやつさえいる。しかもそんな面に限って大きいものだ。