2012-04-26から1日間の記事一覧

徳冨蘆花『自然と人生』

家は十坪に過ぎず、庭は唯三坪。誰(たれ)か云ふ、狭くして且(かつ)陋(ろう)なりと。家(いへ)陋なりと雖ども、膝を容る可(べ)く、庭狭きも碧空仰ぐ可く、歩(ほ)して永遠を思ふに足る。

夏目漱石『門』

彼は門を通る人ではなかった。また門を通らないで済む人でもなかった。要するに、彼は門の下に立ちすくんで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。