2012-05-01から1日間の記事一覧

川端康成『雪国』

島村は退屈まぎれに左手の人さし指をいろいろに動かしてながめては、結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている、はっきり思い出そうとあせればあせるほど、つかみどころなくぼやけてゆく記憶のたよりなさのうちに、この指だけは女の…

芥川龍之介『侏儒の言葉』

恋愛の徴候の一つは彼女に似た顔を発見することに極度に鋭敏になることである。