2012-05-05から1日間の記事一覧

芥川龍之介「相聞 三」

また立ちかへる水無月の 歎きを誰にかたるべき。 沙羅のみづ枝に花さけば、 かなしき人の目ぞ見ゆる。

内田百ケン「無恒債者無恒心」

生きてゐるのは退儀である。しかし死ぬのは少少怖い。死んだ後の事はかまはないけれど、死ぬ時の様子が、どうも面白くない。妙な顔をしたり、變な聲を出したりするのは感心しない。ただ、そこの所だけ通り越してしまへば、その後は、矢つ張り死んだ方がとく…