2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ガルシア=マルケス『族長の秋』(鼓直 訳)

閣下くらいのもんでしょう、あれが愛だ、恋だと思ってるのは、閣下はあの程度のものしか知らないんだ、ほんとの話。

『淮南子』

年五十にして四十九年の非を知る。 五十歳になって、今まで四十九年間の生き方が間違いであったことを悟る。一生の終わり近くになって、それまでの生き方が過ちだらけであったことに気づくということ。

魯迅『空談』(『華蓋集続編』所収)

死者がもし生きている人の心の中に埋葬されなかったら、それこそ本当に死んでしまったのだ。

ヘンリー・ミラー『南回帰線』(河野一郎 訳)

現在とは一つの橋にすぎず、この橋の上で、世界がうめき苦しむのに合わせ、彼らはいまだに苦しみつづけ、いっそ橋ごと爆破してしまおうと考える一人の阿呆すらいないのだ。

カポーティ『遠い声 遠い部屋』(河野一郎 訳)

「うん、一つこういうのを覚えているよ――『Rは巨大な柱時計の陰にかくれている。その時を刻む音は雷鳴のようだ、神の脈搏のようだ、そして指し示す指のような形をしたその指針は、三時十七分を示している。六時になると、わたしは彼を捜し出す、彼はわたしか…

茅盾『腐蝕』

人間という動物には本当に変わったところがある。この世は仮の宿で、未練などまったくないと感じている時には、もともと悠々自適の心境のわけだが、同時に空虚と寂寞の感を免れない。

艾青『光的賛歌』詩

たとえ我々が一本のマッチだったとしても 一番大事な時に一度輝かねばならない たとえ我々が死んだ後(あと)死体が腐爤したとしても 燐火となって荒野の中で燃えなければならない。

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』「18 ペネロペイア」(丸谷才一、永川玲二、高松雄一 訳)

Yesだって先にはぜったいしなかったことよ朝の食じを卵を2つつけてベッドの中で食べたいと言うなんてシティアームズホテルを引きはらってからはずうっとあのころあの人は亭しゅ関ぱくでいつも病人みたいな声を出して病きで引きこもってるみたいなふりを…

何其芳『我和散文』

生きているということは、結局賛美すべきことなのだ。何かすることができるのだから。

魯迅『雑感』(『華蓋集』所収)

勇気のある者が怒れば、刀を抜いてもっと強い者に向かって行く。臆病な者が怒れば、刀を抜いてもっと弱い者に向かって行く。救いようのない民族の中には、必ず子供たちだけを睨みつける英雄がたくさんいる。

クロード・シモン『アカシア』(平岡篤頼 訳)

彼らもだれしもとおなじようにどの部隊、どの連隊あるいはどの師団をおとりに使ったとか、それも戦略上の計算だとか、分断作戦なのだとかいうのは聞いていて、最初のうち、彼らもそれを信じ、「仕方がない! ついてないのさ。たまたまわるい籤(くじ)をひいた…

鄒韜奮『幹』

天下の事業に終わりはなく、人の寿命には限りがある。どんな学問や専門でも、いかなる人も「後(あと)に来る者なし」の情況を作ってはならない。

〔俗諺〕

官官、相護る。 政府や宮廷に勤める者はみなお互いにかばい合うものだ。官吏が自分の得をするようにお互いにうまく権力を利用し合い、少しも民衆の立場に立とうとしないということを諷するのに用いることば。

カフカ『日記』「一九一〇年」(谷口茂 訳)

ぼくの耳の手触りは、新鮮で、ざらざらしていて、冷たく、水気を含んでいて、木の葉のような感じだった。

カフカ『日記』「一九一〇年」(谷口茂 訳)

列車が通りすぎるたびに、見物人たちが立ちすくむ。 〈彼がいつもぼくにたじゅねるたびに。〉このじゅが、文章から離れて、ボールが草原の上を転がってゆくように飛び去った。 (※ たじゅねると訳したfrägtはfragtの方言形である。この『日記』の仏訳者のマ…

『通俗編』

爾(なんじ)の俸(ほう)、爾の禄は、民(たみ)の膏(あぶら)、民の脂(あぶら)なり。 おまえの俸禄は、人民のあぶら汗なのだ。官吏の俸禄は、人民の膏血を絞った税によってまかなわれていることを官吏達に戒めたことば。

『論語』

君子は上達す。小人は下達(かたつ)す。 君子は本質的なことによく通じ、小人は枝葉末節のことにばかりよく通じている。

レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』(清水俊二 訳)

「君は自尊心というものを知らないのか」 「きいたふうなことをいうじゃないか」 「そう聞こえるか。ぼくのいう自尊心はちがうんだ。ほかに何も持っていない人間の自尊心なんだ。気をわるくしたのならあやまるよ」 ※太字は出典では傍点

クロード・シモン『フランドルへの道』(平岡篤頼 訳)

彼は手に一通の手紙を持っていたが、目をあげてぼくの顔を見つめ、それからまた手紙を見、それからまたぼくを見た。

魯迅『傷逝』(『彷徨』所収)

私は新しい生命の道へ第一歩を踏み入れなければならない。真実を心の傷に深く秘めて、黙々と前進しなければならない。忘却と虚言を道案内にして……。

『後漢書』

士に死を忍ぶの辱(はじ)有るは、必ず事を就(な)すの計有るなり。 男子が自殺してしまいたいほどの恥辱をうけて、しかも我慢して自殺せずに恥を忍ぶときは、その人が何か雄大な企てを心に秘めて計画しているときである。

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(原卓也 訳)

だが、わたしには、アリョーシャはだれにもまして現実主義者(リアリスト)だったような気がする。もちろん、修道院に入ってから彼は全面的に奇蹟を信じてはいたが、わたしに言わせれば、奇蹟が現実主義者を困惑させることなど決してないのである。現実主義者…

ゲーテ『ファウスト』(相良守峯 訳)

私はよく知っているが、あの本全体がこの調子です。 私もこれにはだいぶ暇をつぶしましたよ、 というのは、およそ完全に矛盾したことは、 愚者にも賢者にも等しく神秘的に聞えますからね。

魯迅『這個与那個・四「流産与断種」』(『華蓋集』所収)

坐ったままで平安を期待し、前進を期待することは、もしそれが可能なら、もちろん大変結構なことである。ただ心配なのは、死ぬまで待っても、期待していたものが結局来ないことである。

老舎『四世同堂』

才能がありながら不遇な者は特に自分の才能を見せたがるものだ。

ロブ=グリエ『嫉妬』(白井浩司 訳)

屋根の南西部の角(かど)を支えている柱の影が、いま、露台(テラス)の同位角を二つの等しい部分にわけている。この露台は屋根のある広い廻廊で、家を三方からとり囲んでいる。中央の部分も両翼も広さは変らないので、柱によってつくられる影の線は、正確に、…

カルヴィーノ『マルコ・ポーロの見えない都市』(米川良夫 訳)

未開の土地を長く騎行するものには都会が恋しくなってまいります。ようやくたどりつくイシドーラの都は、館という館には螺旋階段がそなわり、そのまた一面に田螺がへばりついている都市(まち)、遠めがねと提琴を工匠(たくみ)の技をもってつくりだす都市、異…

欧陽脩

尺水(せきすい)長瀾(ちょうらん)無ければ、蛟竜(こうりゅう)豈に其れ容れんや。 浅い水で大波が立たないような所に蛟(みずち)はどうして身をおくことができようか。「長瀾」は、大波。大きな才が有りながらつまらない所にしか用いられなければ特長を発揮でき…

欧陽脩

尺水(せきすい)長瀾(ちょうらん)無ければ、蛟竜(こうりゅう)豈に其れ容れんや。 浅い水で大波が立たないような所に蛟(みずち)はどうして身をおくことができようか。「長瀾」は、大波。大きな才が有りながらつまらない所にしか用いられなければ特長を発揮でき…

『韓非子』

巫咸(ふかん)善く祝すと雖も、自ら祓うこと能わず。 祈禱師は、人のために幸いを祈りはするが、自分で自分のおはらいはできない。たとえどんなに有能な人であっても、自分で行うことには限界があり、第三者の協力を必要とするものである。