2013-04-21から1日間の記事一覧

徳冨蘆花『黒潮』

田舎に引籠って、吾(わが)影法師と頷き合うての考(かんがえ)に耽ける者の癖として、兎角偏狭に流れ易い。

島崎藤村『春』

僕は世を破る積りで居て、反って自分の心を破って了った。 *青木(北村透谷がモデル)の言葉。

松平定信『花月草子』

人をみるには、まづ十(とお)にして五つばかんもよき事あるは、いとよき人とみるべし。十にして一つ二つもよき事あるは、よき人なり。十にして皆あしきをば、あしきと心得給へ。

ホメロス『オデュッセイア』(松平千秋 訳)

ムーサよ、わたくしにかの男の物語をして下され、トロイエ(トロイア)の聖なる城を屠(ほふ)った後、ここかしこと流浪の旅に明け暮れた、かの機略縦横なる男の物語を。多くの民の町を見、またその人々の心情をも識(し)った。己が命を守り、僚友たちの帰国を…

ホメロス『イリアス』(松平千秋 訳)

怒りを歌え、女神よ、ペレウスの子アキレウスの――アカイア勢に数知れぬ苦難をもたらし、あまた勇士らの猛き魂を冥府の王(アイデス)に投げ与え、その亡骸は群がる野犬野鳥の啖(くら)うにまかせたかの呪うべき怒りを。かくてゼウスの神慮は遂げられていったが…