2013-07-05から1日間の記事一覧

夏目漱石『草枕』

固より急ぐ旅でないから、ぶらぶらと七曲りへかかる。 忽ち足の下で雲雀の声がし出した。谷を見下したが、どこで鳴いてるか影も形も見えぬ。只声だけが明らかに聞える。せっせと忙(せわ)しく、絶間なく鳴いて居る。方幾里の空気が一面に蚤に刺されて居たたま…