その年の二百十日はたしか涼しい月夜であった。つづいて二百二十日の厄日も亦それとは殆ど気もつかぬばかり、いつに変らぬ残暑の西日に蜩の声のみあわただしく夜になった。夜になってからは流石厄日の申訳らしく降り出す雨の音を聞きつけたものの然し風は芭…
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