2015-01-17から1日間の記事一覧

種田山頭火

うしろすがたのしぐれてゆくか

吉井勇

君がため瀟湘湖南(せうしやうこなん)の少女らはわれと遊ばずなりにけるかな

西条八十「懈怠」

日に幾度(いくたび)/眼(まなこ)をとざす/疲れて、ものうく。 瞼のうへに/とまれる蛾の/翅(はね)の薄白さ、また冷たさ。 ほのかに蒼(あを)み/螺(きさご)のごとく翳りゆく大地、/さびしげなる/白昼(ひる)の星宿。 をりをり、あたたかく/眉にふる花粉よ…

高山樗牛「滝口入道」

やがて来む寿永の秋の哀れ、治承の春の楽みに知る由も無く、六歳の後に昔の夢を辿りて直衣の袖を絞りし人々には、今宵の歓会も中々に忘られぬ思寝の涙なるべし。 驕る平家を盛りの桜に比べてか、散りて後の哀れは思はず、入道相国が花見の宴とて、六十余州の…