2015-05-01から1日間の記事一覧

黒田杏子

白葱のひかりの棒をいま刻む

花山多佳子

合唱をして戻りくるおみな子が夕闇に跳ねる尿意こらえて

小林秀雄「ランボオIII」

僕が、はじめてランボオに、出くはしたのは、廿三歳の春であつた。その時、僕は、神田をぶらぶら歩いてゐた、と書いてもよい。向うからやつて来た見知らぬ男が、いきなり僕を叩きのめしたのである。僕には、何の準備もなかつた。ある本屋の店頭で、偶然見付…

小林秀雄「当麻」

梅若の能楽堂で、万三郎の当麻(たえま)を見た。 僕は、星が輝き、雪が消え残った夜道を歩いてゐた。何故、あの夢を破る様な笛の音や大鼓(おおかは)の音が、いつまでも耳に残るのであらうか。夢はまさしく破られたのではあるまいか。白い袖が翻り、金色の冠が…