G・K・チェスタトン「金の十字架の呪い」(中村保男 訳)

「わたしが疑っているのは超自然的な部分じゃない。その自然の部分なのですよ。不可能なことは信じられるが、ありそうもないことは信じられぬと言った人がありますが、まさにわたしもそれですな」
「いわゆる逆説というやつですね?」と相手。
「わたしに言わせると常識です、正しく理解しさえすれば」と神父は答えた。「わたしどもにはわからないことが出てくる超自然の物語を信じるほうが、わたしどもの知っているところと矛盾するような自然の話を信じるよりも、実のところ自然なのです」