中島敦「かめれおん日記」

(考えてみれば、元々世界に対して甘い考え方をしていた人間でなければ、厭世観を抱くわけもないし、自惚やか、自己を甘やかしている人間でなければ、そういつも「自己への省察」「自己呵責」を繰返す訳がない。だから、俺みたいに常にこの悪癖に耽るものは、大甘々(おおあまあま)の自惚やの見本なのだろう。実際それに違いない。全く、、と、どれだけが、えらいんだ。そんなに、しょっちゅうのことを考えてるなんて。)

   ※太字は出典では傍点
   ※斜体は出典では白丸点