小林秀雄「川端康成」

 自己反省というものの行き着くところは、自分というものは、ばらばらにしか知る事は出来ぬという事である。そこまで行き着かないで途中にいる人だけが、告白というものを好む。告白につれて、その場限りの心理とか性格とかが発明され、又、何処かに消えて行く。はかない即興である。