中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』

最早彼にとって独り言とは、脳より先に思考される場であった。ようするに思考されるべき内容が、一度音声として空気中に出現した後に、自らの耳を通ってからやっと脳に入ってくるのだ。巨大ロボットを操るアニメのヒーローが武器を使う時にいちいちその武器の名を叫ばなければいけないのと同じことである。