「科学者とあたま」寺田寅彦

大小方円の見さかいも付かないほどに頭が悪いおかげで大胆な実験をし、大胆な理論を公にし、その結果として百の間違いのうちに一つ二つの真を見付け出して学会に何がしかの貢献をし、また誤って大家の名を博する事さえある。しかし科学の世界ではすべての間違いは泡沫のように消えて真なもののみが生き残る。