木下杢太郎「緑金暮春調」

ゆるやかに、薄暮(くれがた)のほの白(じろ)き大水盤(だいすゐばん)に
さららめく、きららめく、暮春(ゆくはる)の鬱憂(めらんこりあ)よ。
その律(しらべ)や濁り、緑金(りょくきん)の水沫(しぶき)かをれば、
今日もまたいと重くうち湿り、空気淀みぬ。