明恵『却廃忘記』

一人の女、人のわろき事をいいてにくむに、いまひとりの女の云わく「人のわろきというは、ただわがみのわろきとおもうべき也」云々。これらがさいかくにてあるなり。
〈解釈〉ある一人の女が他人を悪く言って憎んでいると、もう一人の女が「他人が悪いというのは、ただただ自分が悪いのだと思うのがよろしいのですよ」云々とたしなめた。こうした心構えが人生を渡る知恵と言えよう。