『中庸』(金谷治 訳注)

庸徳をこれ行ない、庸言をこれ謹しみ、足らざる所あれば、敢えて勉めずんばあらず、余りあれば敢えて尽くさず。言は行を顧み、行は言を顧みる。君子胡(な)んぞ慥慥爾(ぞうぞうじ)たらざらん」と。


庸徳之行、庸言之謹、有所不足、不敢不勉、有余不敢尽、言顧行、行顧言、君子胡不慥慥爾、


平凡で恒常的な日常の徳を実行し、平凡で恒常的な日常のことばを慎重にして、足りないところがあればあくまで行きつこうと努力し、過ぎたところがあれば、慎重に抑えて自制する。そしてものを言うときにはことばが実行より過ぎないようにと注意し、事を行なうときには実行がことばに及ばぬことがないようにと注意〔して、言と行との一致に努力〕する。君子はいつも緊張して勉めないではおれないのだ」