杜牧「曹師等に留誨する詩(そうしらにりうくゎいするし;留誨曹師等詩)」(抄) (市野澤寅雄)

學は其の花を探るに非ず
要は自ら其の根を撥するなり
孝友と誠實と
而して爾の言を忘れず
根本既に深實ならば
柯葉自ら慈繁せん
念ず爾の此を忽にするなく
期するに以て吾が門を慶せんことを


がくはそのはなをさぐるにあらず
えうはみづからそのねをはっするなり
かういうとせいじつと
しかしてなんぢのげんをわすれず
こんぽんすでにしんじつならば
かえふおのづからじはんせん
ねんずなんぢのこれをゆるがせにするなく
きするにもってわがもんをけいせんことを


學非探其花
要自撥其根
孝友與誠實
而不忘爾言
根本既深實
柯葉自慈繁
念爾無忽此
期以慶吾門


学問は制挙(せいきょ)に探花(たんか)の言葉もあるが、何も開いた花を尋ね歩くのが能事でない。本になる根をしっかりとさせるのが要領である。家庭の中では孝友、人とつきあっては誠実。お前のいった言葉を忘れるな。根本が深く著実に立てば、枝葉は自然に繁栄する。僕の念願はお前たちがこの教訓を軽く見ないで、自分の家を起こす心がけで勉強してくれることだ。