王漁洋「眞州(しんしう)絶句(三首)」(抄) (橋本循)

江干多くは是れ釣人の居
柳陌菱塘一帶疎なり
好し是れ日斜めにして風定まるの後
半江の紅樹、鱸魚を賣る


かうかんおほくはこれてうじんのきょ
りうはくりょうたういったいそなり
よしこれひななめにしてかぜさだまるののち
はんかうのこうじゅ、ろぎょをうる


江干多是釣人居
柳陌菱塘一帶疎
好是日斜風定後
半江紅樹賣鱸魚


 江(かわ)のほとりは、多くは釣人の家で、柳の路、菱池の塘(つつみ)の間一帯にあちこちに散らばっている。とりわけ、吹く風も落ちついて夕日近きとき、江水が紅樹の間から見え隠れするところで、漁人が釣してきた鱸魚(ろぎょ)を売っている風景は宜(よ)いものである。