屈原「遠遊」(『楚辭』より)(抄) (藤野岩友)
天地の窮まり無きを惟ひ、
人生の長く勤るるを哀しむ。
往者は余及ばず、
來者は吾聞かず。
てんちのきはまりなきをおもひ、
じんせいのながくつかるるをかなしむ。
わうしゃはわれおよばず、
らいしゃはわれきかず。
惟天地之無窮兮
哀人生之長勤
往者余弗及兮
來者吾不聞
天地が窮まり無いことを思い、人間の生活が、いつまでも苦労の連続であるのをかなしむ。過去の時代には、わたくしは追いつくことはできないし、将来のことについては、わたくしは聞くことができない。