裴迪(はいてき)「孟城坳(まうじゃうあう)」(全) (齋藤晌)

廬を結ぶ 古城の下。
時に古城の上に登る。
古城 疇昔に非ず。
今人 自ら來往す。


ろをむすぶ こじゃうのもと。
ときにこじゃうのうへにのぼる。
こじゃう ちうせきにあらず。
こんじん おのづかららいわうす。


結廬古城下
時登古城上
古城非疇昔
今人自來往


 孟城(もうじょう)という古い城の下に草廬(そうろ)を結んだ。ときどき古い城の上に登ってみる。古い城といっても、昔のすがたはない。今の人が昔のことも知らず、ただそこらを往來しているばかり。