杜甫「旅夜、懷を書す(りょや、おもひをしょす;旅夜書懷)」(抄) (齋藤晌)

飄飄として何の似たる所ぞ。
天地の一沙鷗。


へうへうとしてなんのにたるところぞ。
てんちのいっさおう。


飄飄何所似
天地一沙鷗


ところ定めず、ふらふらとさすらいゆくわが境遇を何にたとえようぞ。まったく、天地の間をあまかけって、今、砂濱(すなはま)に遊んでいるあの一羽の鷗、あれこそ自分の姿ではないか。