王安石「湖陰先生の壁に書す(こいんせんせいのへきにしょす;書湖陰先生壁)」(抄) (今關天彭、辛島驍)

茆簷 長に掃って 靜にして苔無し
花木 畦を成して 手自ら栽う
一水 田を護り 緑を將って繞り
兩山 闥を排し 青を送り來る


ばうえん つねにはらって しづかにしてこけなし
くゎぼく けいをなして てみづからうう
いっすゐ でんをまもり りょくをもってめぐり
りゃうざん だつをはいし せいをおくりきたる


茆簷長掃靜無苔
花木成畦手自栽
一水護田將緑繞
兩山排闥送青來


かやぶきの屋根。そののき下は、いつも掃き清めてあるので、静かで苔もはえていないし、庭には、一区劃、主人が自分で栽(う)えた花や木がある。また一本の小川が、まるでその向こうの田を護るようにして、緑をめぐらしているし、二つの山が、まるで門から乱暴に押し入ってくるように、山の青さを送り込んでいる。まことに風流なお住居だ!