杜甫「貧交行(ひんかうかう)」(抄) (目加田誠)

手を翻せば雲と作り手を覆せば雨
紛紛たる輕薄何ぞ數ふるを須ひむ


てをひるがへせばくもとなりてをくつがへせばあめ
ふんぷんたるけいはくなんぞかぞふるをもちひむ


翻手作雲覆手雨
紛紛輕薄何須數


手のひらをちょっと上に向ければ雲となり、ちょっと下に向ければ雨となる。今の世の人情はまことに定めなく、忽ちにして変わりやすい。世間無数の軽薄なやからは、いちいち数え立てる要もない。