高適(かうせき)「人日 杜二拾遺に寄す(じんじつ とじしふゐによす;人日寄杜二拾遺)」(抄) (齋藤晌)

心に懷く百憂 復 千慮。
今年人日 空しく相憶ふ。
明年人日 知んぬ何れの處ぞ。


こころにいだくひゃくいう また せんりょ。
こんねんじんじつ むなしくあひおもふ。
みゃうねんじんじつ しんぬいづれのところぞ。


心懷百憂復千慮
今年人日空相憶
明年人日知何處


しかし、世のなりゆきを眺めていると、憂慮にたえないことばかりだ。お互いに浮草のような身分で、どうなることでもない。
今年の人日(じんじつ)は、こうやってむなしく手紙を送って思いを述べることだけはできた。
さて来年はお互いにどこにいてどうなっていることやら。