チャールズ・オルソン(出淵博 訳)

     「かわせみ」(抄)


・変わらないもの/それは変わろうとする意志だ。


 彼はベッドのなかで 服を着たまま、めざめた。彼は
 ただひとつのことしか憶えていない、鳥たちのことだけを。
 


・ひとつの死ではなく あまたの死を
 堆積ではなく 変化を フィードバックが証明する フ
  ィードバックこそ
 律(おきて)


     同じ河にふたたび足を踏みいれるものはない
     火が死ぬとき空気も死ぬ
     だれも同じ人間のままだったり
     同じ状態のものはいない


 ひとつの外貌ひとつの共通のモデルのまわりにぼくたちは
  築きあげる
 多くのものを そうでなければ
 ぼくたちが同じままなら なぜ
 前に喜びを感じなかったものに喜びを感じるのか? 矛盾
  したものを
 愛せるのか? 賞讃しながらしかも同時に
 非難できるのか? 別なことばを
 使い 別な感情をもち 姿や
 外貌や気持ちや繊維も
 同じでないのか?
         変化しないでちがった状態になることな
          どかなわぬこと



・そしてあまりつよく意味を把むと
 握りしめ 集約すると 
 その意味は消える


 これこそまさにきみなのだ

     「ヨーロッパの死」(抄)


なんと原始的に
ひとはならなくてはならないのか? あるいは