2008-04-27から1日間の記事一覧

古井由吉『杳子』

杳子は深い谷底に一人で坐っていた。 十月もなかば近く、峰には明日にでも雪の来ようという時期だった。

白樂天「官舍小亭の間望(くわんしゃせうていのかんばう;官舎小亭間望)」(抄) (田中克己)

廻って謝す名を爭ふ客、 甘んじて君の嗤ふ所に從す。 かへってしゃすなをあらそふかく、 あまんじてきみのわらふところにまかす。 廻謝爭名客 甘從君所嗤 ふりかえって世の虚名を争う者にいっておく、「君たちの冷笑にまかせる」と。