2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

夏目漱石

一大事も糸瓜も糞もあらばこそ

柳美里『自殺』

死に方ぐらい自分で考えてほしいと思いますね。大量生産の既製品を着て、ケンタッキーでも、鶏を殺すことからやらないで食べるわけでしょう。どこかで鶏の首を絞めているだろうと思いもせず。牛肉も、牛を殺すことからやってない。その現場から遠く離れて、…

住宅顕信

若さとはこんな淋しい春なのか

レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』(川田順造 訳)

最後に、これほど多くの都市で、街を西に向かって駆りたて、東の地区に貧困と退廃を強いている作用の不思議な因子についても触れなければならない。恐らくこれは、太陽の動く方向は正であり、その逆の方向は負であるという、そして一方は秩序を、他方は無秩…

北原白秋「他ト我」(全)

二人デ居タレドマダ淋シ、 一人ニナッタラナオ淋シ、 シンジツ二人ハ遣瀬ナシ、 シンジツ一人ハ堪エガタシ。

石垣りん「くらし」(全)

食わずには生きてゆけない。 メシを 野菜を 肉を 空気を 光を 水を 親を きょうだいを 師を 金もこころも 食わずには生きてこれなかった。 ふくれた腹をかかえ 口をぬぐえば 台所に散らばっている にんじんのしっぽ 鳥の骨 父のはらわた 四十(しじゅう)の日…

吉野弘「奈々子に」(全)

赤い林檎の頰(ほお)をして 眠っている 奈々子。 お前のお母さんの頰の赤さは そっくり 奈々子の頰にいってしまって ひところのお母さんの つややかな頰は少し青ざめた お父さんにも ちょっと 酸っぱい思いがふえた。 唐突だが 奈々子 お父さんは お前に 多く…