熊野とは、たえず新しい空間をひらく神である。私たちが、おのがじしの因縁に縛られ、閉された空間のなかで、いよいよ動きがとれなくなるとき、空間とはもともと閉されたものでなく、開かれたものであることを、悟らせて下さるのが熊野の神というものである…
《熊野》とは何か? それは、私がなにかあることを考えているとき、ヒョイとはいりこんできて、私の思考をかきみだし、果ては私の思考そのものと重なりあってしまう、そういうなにものかである。
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