丸山静『熊野考』

熊野とは、たえず新しい空間をひらく神である。私たちが、おのがじしの因縁に縛られ、閉された空間のなかで、いよいよ動きがとれなくなるとき、空間とはもともと閉されたものでなく、開かれたものであることを、悟らせて下さるのが熊野の神というものであるようにおもう。