2011-04-28から1日間の記事一覧

古井由吉『白髪の唄』

上手に狂う男だ、とつぶやいた。

古井由吉『白髪の唄』

「白髪(はくはつ)というものは、時によって白く見えたり黒く見えたりするものですね」

古井由吉『白髪の唄』

私はもともと、肩幅はあるほうの男なのだ。

古井由吉『白髪の唄』

――しばらく、年も取りかねているんだよ。

古井由吉『白髪の唄』

「この街は恐い」 「なぜだ」 「だって、焼けていないから」 「そうだ」

古井由吉『白髪の唄』

――それがいいんだよ。あいつ、死んだのかもしれないな、とあんたは思うだろう。しかし、だから俺の名刺をひっぱり出して俺の勤め先に電話をかけて確かめようとはしないやな。生きていても死んでいても、返事に困るからな。となると、これはあんたにとって、…

古井由吉『白髪の唄』

「ひさしぶりにね、人の立っている姿を、目にしたような気がしたんだよ」