2013-01-22から1日間の記事一覧

巴金『愛情三部曲・電』

過去の生活が人の心に残した跡は、なかなか消せないことを私も知っている。だが人は憂愁にすがって生きて行くことはできない。

老舎『四世同堂』

恨みの反対の端は愛だ。その両端は折り曲げてくっつけ、丸い輪にすることができる。

フォークナー『死の床に横たわりて』(佐伯彰一 訳)

上にゆきつくと、奴はもう鋸を使うのを止めて、木屑の散らばった中で、二枚の板を合わせて見ている。両側が影になったあいだでみると、金みたいに光って、しかも手斧(ちょうな)の刃のあとがなめらかな波動をなして側面に見えて、柔らかい金そっくりだ。腕の…

フォークナー『八月の光』(加島祥造 訳)

名前というものはただ人間を区別するための記号にすぎないはずなのだが、場合によると名前が当人の未来の行動を暗示するものとなり、いつかは『やっぱりそうだった』と人々にうなずかれるようなことにもなるんだ