2013-01-26から1日間の記事一覧

『碧巌録』

有事を将(もっ)て無事と為すこと莫かれ。往往に事(じ)は無事より生ず。 何か変わったことがあれば、もう他には何も起こらないだろうと安心してはならない。しばしば物事は、何もないところから生じる。

魯迅『写在「墳」後面』(『墳』所収)

確かに私は他人を解剖する。だがもっと多くは容赦なく自分自身を解剖することであった。

ディケンズ『大いなる遺産』(山西英一 訳)

良心というものは、大人なり、子供なりを呵責するとなると、まことにもって恐ろしいものである。だが、少年の場合に、その秘密の重荷が彼のズボンのなかにひそませたもうひとつの秘密と合体するとき、(わたしはあえて証言するが)それはまさに重大な懲罰で…

トーマス・マン『魔の山』(関泰祐・望月市恵 訳)

性格はすべて両面を持っているが、性格をいいあらわす名称には、ざんねんなことに、いい意味にしても、わるい意味にしても、とにかく道徳的批判がふくまれるのが常である。